図面・仕様書からの数量拾い出し(積算)支援
図面と仕上表をAIに読ませて部屋別の仕上一覧と建具の突合表を作らせ、数量計算と最終確認は人が行います。

- 対象部署
- 積算部・工務部
- 使う技術
- マルチモーダルLLMによる図面PDFの読取(ChatGPT / Claude / Gemini) / AI積算ツール(PDF図面からの自動拾い出し、BIM連携の数量集計。月額数十万円規模のSaaSが中心で、積算担当2名以上・年間50件以上が採算の目安になります) / Googleスプレッドシート(内訳書との突合と差分抽出) / 社内歩掛マスタと実績内訳書のデータベース化
- 必要な入力データ
- 意匠図・構造図のPDF(1ページ1図面、寸法線と縮尺が読める解像度) / 仕上表・建具表・特記仕様書 / 自社の内訳書フォーマットと歩掛マスタ / 同種工事の実績内訳書(項目単位の一覧)
Before / After
人がやる場合と、AIを使った場合
効果だけを並べても判断できません。まず「今どうやっているか」を具体的に書きます。タブを切り替えて読み比べてください。
積算担当が図面を紙に出力し、蛍光ペンで塗りながら電卓とExcelで拾います。仕上表と平面図を突き合わせ、部屋ごとに床壁天井の仕上と面積を集計します。建具表を見ながら平面図の建具記号を数え、員数を確定します。数字を内訳書へ転記し、上司が主要工種の一部だけを検算します。小部屋や階段裏の拾い漏れ、二重計上、改訂図の反映漏れが起きます。担当が1名しかおらず、その人が休むと見積提出が止まります。
図面と仕上表をAIに読ませ、部屋ごとの仕上一覧表を先に作らせます。AIには「どの図面のどの部屋番号から読み取ったか」という出典と、判読できなかった箇所を必ず出させます。面積と体積の計算はAIに任せず、人かCADで算出して表に入れます。建具と設備の員数はAIに拾わせ、建具表との不一致だけを人が追います。人が判断するのは、数量の最終責任、施工条件を踏まえた歩掛、意匠図と構造図の食い違いの解決、仕様書の解釈、見積金額の決定です。AIの出力をそのまま見積として提出することはありません。
| 比較する軸 | 人がやる場合 | AIを使った場合 |
|---|---|---|
| 所要時間 | 中規模の内装工事1件で、拾い出しに2〜4日、検算に半日かかります(想定値です。直近の実案件で実測して置き換えてください)。 | 仕上一覧の作成に半日、検算と数量の確定に1〜2日かかります(自社での実測が必要です)。 |
| 関わる人数 | 積算担当1名に集中し、その人が休むと工程が止まります。 | AIが下地を作るため、若手が仕上一覧を作り、ベテランは検算に回れます。 |
| 起きるミス | 小部屋やPS・階段裏の拾い漏れ、二重計上、改訂図の反映漏れが起きます。 | AIが古い版の図面を黙って読むことがあります。自信を持って誤ったときは、判読不可欄に出ないまま残ります。 |
| 必要なスキル | 図面の読み取りと歩掛の判断を1人が全部持ちます。習得に必要な年数は社内の体感で語られており、測られていません。 | AI出力の出典を追う力と、主要数量を実測で検算する力が要ります。そのぶん経験の伝達がしやすくなります。 |
効果の見込み
積算分野では「数量拾い・見積を70%効率化」といった数値が示されますが、これは積算AIを販売する事業者が自社サイトで公表した値であり、中立の媒体による報道ではありません。行政の動きとしては、国土交通省が2024年4月に「i-Construction 2.0」を策定し、2040年度までに建設現場の省人化3割(生産性1.5倍)を目標として掲げています(国土交通省の公表資料)。ただしBIM連携の積算はBIMモデルや電子図面が前提で、紙図面主体の中小工事とは条件が異なります。自社では「1案件あたりの拾い出し時間」と「拾い漏れによる差し戻し件数」を要実測としてください。
Steps
実際にやること
読んだ方がそのまま試せる粒度で書いています。出し惜しみはしません。各手順の説明とプロンプト例は「くわしく見る」を開くと読めます。
- 01
対象工種を絞って始める
くわしく見る
最初は内装仕上のように、仕上表と平面図で完結する工種に限定します。躯体、鉄骨、設備配管は後回しにしてください。1工種で手順が固まってから広げるほうが、結果的に早く進みます。
- 02
図面の準備を整える
くわしく見る
PDFは1ページに1図面とし、寸法線の数字が拡大して読める解像度でスキャンします。ファイル名に図面番号、版、発行日を入れます。1ページに複数図面が並んでいると、AIの読み取りが大きく崩れます。
- 03
部屋別の仕上一覧をAIに作らせる
くわしく見る
仕上表と平面図を渡し、部屋ごとの仕上を表にさせます。面積を計算させないことが、この工程の最大の要点です。
プロンプト例
添付は建築の平面図と仕上表です。部屋ごとの仕上一覧表を作ってください。 列: 階 / 室名 / 室番号 / 床仕上 / 壁仕上 / 天井仕上 / 天井高 / 出典(図面名と該当箇所)/ 判読できなかった項目 ルール: 仕上表に記載されている表記をそのまま使ってください。図面から読み取れない項目は推測せず「判読不可」と書いてください。面積、長さ、体積は一切算出しないでください。図面に無い部屋を追加しないでください。
- 04
数量は人かCADで算出する
くわしく見る
仕上一覧に対して、面積と長さを人が計算するかCADで拾って入力します。AIの出力は「どこに何があるか」の抽出結果として扱います。この分業を守ることで、桁誤りと縮尺の誤読を避けられます。
- 05
建具と設備の員数を突合させる
くわしく見る
平面図の記号を拾わせ、建具表と付き合わせます。一致しない箇所だけを人が図面で確認します。
プロンプト例
添付の平面図に描かれた建具記号を、階と室ごとにすべて拾い出してください。そのうえで別紙の建具表と突き合わせ、次の3つに分けて一覧にしてください。 ①平面図にあり建具表に無い記号 ②建具表にあり平面図で見つからない記号 ③記号は一致するが数量が合わないもの ルール: 判読できない記号は「判読不可」として、最も近い通り芯の位置とともに挙げてください。推測で記号を補完しないでください。
- 06
実績内訳書と項目単位で差分を取る
くわしく見る
同種工事の実績内訳書を並べ、今回に無い項目を洗い出します。事例2と同じ差分チェックの考え方です。金額ではなく項目の有無だけを比較させます。
- 07
拾い漏れやすい箇所のチェックリストを更新する
くわしく見る
実際に漏れた箇所を毎回リストに追記します。PS、階段裏、天井裏の点検口、共用部の巾木などが典型です。このリストが、担当者の経験を組織の資産に変えます。
Sample Data
この事例で使うサンプルデータ
実際に手を動かして試せるよう、サンプルを用意しています。すべて架空のデータです。お客様の実データは一切使用していません。
一式をまとめた形は、業界別レポートに同梱してお渡ししています。
Pitfalls
つまずきやすい点
精度が出ないときにどこを見るか。ここが分かるかどうかで、定着するかが決まります。見出しを開くと、確かめる箇所が読めます。
AIに面積と体積を計算させない
AIは古い図面も誤りも、黙って自信を持って出す
精度が出ないときに見る場所
図面は顧客の機密情報
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次は事例3(リフォーム完成イメージのAI生成による提案)を読んでください。拾い出しで確定した仕上の表記(床・壁・天井の材料名)が、そのまま完成イメージの指示語になります。図面と提案を同じ言葉で通すと、お客様への説明と発注仕様のずれが減ります。
建設・住宅・リフォームのAI活用レポートをお送りします
この事例を含む5つの活用事例と、サンプルデータをまとめた資料です。社内での共有にお使いいただけます。
