現地調査メモ・写真からの見積項目リストアップ
手書きの調査野帳と現地写真をAIに読ませ、自社の見積項目マスタの語彙だけで項目候補と根拠を出させます。

- 対象部署
- リフォーム営業部・積算担当
- 使う技術
- マルチモーダルLLMによる手書き・写真の読取(ChatGPT / Claude) / Googleスプレッドシート(見積項目マスタと突合) / スプレッドシート関数 XLOOKUP による項目名の照合 / 過去見積との差分比較プロンプト
- 必要な入力データ
- 手書きの現地調査野帳(1ページずつ真上から撮影した画像) / 現地写真10〜30枚(部屋ごとの全景と気になる箇所) / 自社の見積項目マスタ(品名・単位・標準歩掛・付帯で必要な項目) / 類似工事の過去見積3件(内訳の項目一覧)
Before / After
人がやる場合と、AIを使った場合
効果だけを並べても判断できません。まず「今どうやっているか」を具体的に書きます。タブを切り替えて読み比べてください。
営業担当が現地で野帳に手書きし、写真をスマートフォンで撮ります。帰社後、野帳を見ながらExcelへ項目を打ち直します。記憶をたどって項目を並べ、抜けに気づくたびに写真を開き直します。積算担当へ渡すと、養生や廃材処分、仮設電源といった項目の不足で差し戻されます。担当者によって項目数が2倍近く違い、追加請求や値引きの原因になっています。
野帳の写真と現地写真をAIに渡し、見積項目マスタの語彙だけで項目候補を出させます。AIは各項目に「どの写真のどこから読み取ったか」という根拠と、確認が必要な事項を併記します。営業担当は根拠を見ながら採否を決め、数量は自分で入れます。積算担当は過去見積3件との差分を確認し、抜けの疑いだけを追います。人が判断するのは、数量の確定、搬入経路や在宅工事といった現場条件による歩掛の増減、請負範囲の線引き、お客様への説明の仕方です。
| 比較する軸 | 人がやる場合 | AIを使った場合 |
|---|---|---|
| 所要時間 | 帰社後の転記と項目出しに60〜90分かかり、差し戻し対応に翌日30分を取られます(想定値です。導入前1週間の実測に置き換えてください)。 | AI出力の確認と数量の記入に30分、差分チェックに10分かかります(自社での実測が必要です)。 |
| 関わる人数 | 営業担当1名と積算担当1名が関わり、差し戻しのたびに現地確認の電話で職長1名を巻き込みます。 | 営業担当1名が下地を作り、積算担当1名が差分だけを確認します。 |
| 起きるミス | 養生・廃材処分・仮設の抜け、平方メートルとメートルの取り違え、担当による項目数のばらつきが起きます。 | AIが数量を推定してしまうことがあり、これはプロンプトで禁止します。手書きの略号の読み違いも残ります。 |
| 必要なスキル | リフォーム工事の経験に基づく暗黙の項目出しと、Excelの操作が要ります。 | 見積項目マスタの整備と、AIが出した根拠の妥当性を見抜く力が要ります。 |
効果の見込み
リフォームの現地調査から見積項目を起こす工程については、第三者が測って公表した効果の数値が見当たりません。積算AIの削減率をうたう記載はありますが、いずれも図面がある新築・内装工事が前提で、現地調査から始まるリフォームには当てはまらないため、ここでは引用しません。自社では「積算からの差し戻し件数」と「現調から見積提出までの日数」を導入前後で数えることから始めます。数値は要実測です。
Steps
実際にやること
読んだ方がそのまま試せる粒度で書いています。出し惜しみはしません。各手順の説明とプロンプト例は「くわしく見る」を開くと読めます。
- 01
見積項目マスタを1シートに整える
くわしく見る
品名・単位・標準歩掛に加えて、「この項目を採用したら一緒に必要になる項目」の列を足します。養生、廃材処分、仮設電源、既存撤去などがここに入ります。この列がAIの抜け防止に効きます。
- 02
現地調査の撮り方と書き方を決める
くわしく見る
部屋ごとに全景1枚と気になる箇所の接写、野帳は1ページずつ真上から撮ります。斜めから撮ると手書き文字の読取精度が落ちます。略号を使う場合は、マスタに略号の対応表を1列作っておきます。
- 03
AIに項目候補表を作らせる
くわしく見る
野帳画像、現地写真、見積項目マスタの3点をまとめて添付します。マスタにない項目は本表に混ぜず、別記させるのが要点です。
プロンプト例
あなたは住宅リフォームの積算補助です。添付の手書き調査野帳と現地写真、および別紙の見積項目マスタをもとに、見積項目の候補表を作ってください。 列: 部位 / 項目名(マスタの品名のみ使用)/ 単位 / 想定数量(野帳に数字がある場合のみ転記。無ければ空欄)/ 根拠(どの写真、または野帳の何行目から読み取ったか)/ 要確認事項 ルール: マスタにない項目名を作らないでください。マスタにないが必要と思われる作業がある場合は、表の下に「マスタ未登録の候補」として別記してください。数量を推定して埋めないでください。手書きで読めない文字は□で示してください。
- 04
根拠列を見て採否を決め、数量を入れる
くわしく見る
営業担当が根拠列を1行ずつ確認し、採用・不採用・保留の3択を付けます。数量は野帳の実測値か、現地で測り直した値を人が入力します。AIの想定数量欄は空欄のままで構いません。
- 05
過去見積3件と差分を取る
くわしく見る
同種工事の過去見積を並べ、今回に無い項目を洗い出します。ここで出た「抜けの疑い」が、差し戻しの大半を事前に潰します。
プロンプト例
次の2つのリストを比較してください。A は今回の現地調査から抽出した見積項目、B は過去の類似工事3件の見積項目です。 出力: ①B にあり A に無い項目の一覧 ②各項目について、今回不要と判断できる根拠が添付の写真や野帳から読み取れるかどうか(読み取れる/読み取れない/判断できない の3択) ルール: 金額と数量には触れないでください。項目の有無だけを比較してください。 A: (貼り付け) B: (貼り付け)
- 06
差し戻された項目を月1回マスタに戻す
くわしく見る
積算担当から差し戻された項目を月末に集め、マスタの「一緒に必要になる項目」列へ追記します。これをやらないと同じ抜けが繰り返されます。更新日と追記者を記録しておきます。
Sample Data
この事例で使うサンプルデータ
実際に手を動かして試せるよう、サンプルを用意しています。すべて架空のデータです。お客様の実データは一切使用していません。
一式をまとめた形は、業界別レポートに同梱してお渡ししています。
Pitfalls
つまずきやすい点
精度が出ないときにどこを見るか。ここが分かるかどうかで、定着するかが決まります。見出しを開くと、確かめる箇所が読めます。
AIが数量を勝手に推定する
手書きの略号と薄い鉛筆で精度が落ちる
精度が出ないときは、まずマスタを疑う
写真に写らない項目は原理的に出せない
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次は事例1(現場写真の自動分類と工事報告書・日報作成)を読んでください。現調で撮る写真も工事中に撮る写真も、後から探して使う資産という点では同じです。撮影の型と分類の語彙を両方で揃えておくと、現調写真をそのまま施工中の記録に引き継げます。
建設・住宅・リフォームのAI活用レポートをお送りします
この事例を含む5つの活用事例と、サンプルデータをまとめた資料です。社内での共有にお使いいただけます。
