安全書類・施工計画書の作成支援
作業員マスタを1つに統一し、元請ごとの様式との項目対応表をAIに作らせて差し込み、施工計画書は変更箇所だけを洗い出します。

- 対象部署
- 工事部・安全衛生管理・総務
- 使う技術
- 生成AIによる様式の読み取りと項目対応表の作成(ChatGPT / Claude) / Googleスプレッドシート(作業員マスタと差し込みシート) / Excel様式への差し込み(Power Automate Desktop / Excel VBA / Python の openpyxl。様式をGoogleスプレッドシートに統一できる場合のみ Google Apps Script) / スプレッドシート関数による期限判定(DATEDIF / EDATE)
- 必要な入力データ
- 自社の作業員マスタ(氏名・生年月日・雇入年月日・保険情報・資格・健診日) / 元請ごとの安全書類様式(Excel または PDF) / 過去に提出して受理された施工計画書 / 当該工事の工程表、作業手順、使用機械の一覧
Before / After
人がやる場合と、AIを使った場合
効果だけを並べても判断できません。まず「今どうやっているか」を具体的に書きます。タブを切り替えて読み比べてください。
元請から様式一式が届き、現場によっては十数種類に及びます。総務担当が同じ作業員名簿を、元請A社、B社、C社それぞれのExcel様式に打ち直します。現場監督は施工計画書を過去物件からコピーし、現場名、工期、数量を書き換えます。書き換え漏れが残ったまま提出し、元請から差し戻されて再提出になります。資格証の期限切れを提出後に指摘されることもあります。
作業員マスタを1つに統一し、様式ごとの項目対応表をAIに作らせます。対応表を使って差し込みを自動化し、同じ内容を打ち直す作業をなくします。資格と健診の期限判定はAIではなく関数で行い、期限切れを提出前に検出します。施工計画書は過去物件と今回条件をAIに読ませ、変更が必要な箇所だけを一覧にします。人が判断するのは、現場固有の危険予知と安全対策の中身、法令適合の最終確認、元請担当者との事前協議、記名押印して提出する責任です。協力会社から資格と健診の更新情報を集めてマスタを新しく保つ作業は、AIを入れても残ります。
| 比較する軸 | 人がやる場合 | AIを使った場合 |
|---|---|---|
| 所要時間 | 1現場あたり書類の準備に4〜8時間かかり、差し戻し対応に都度1〜2時間を取られます(想定値です。導入前1週間の実測に置き換えてください)。 | 差し込みと確認に1〜2時間、施工計画書の変更箇所への対応に1時間かかります(自社での実測が必要です)。 |
| 関わる人数 | 総務担当1名と現場監督1名に加えて、協力会社の事務担当が各社1名ずつ関わります。 | 総務担当1名が差し込み、現場監督1名が安全対策の中身を確認します。協力会社は、自社作業員の資格と健診の更新情報を月1回マスタへ提出します(この作業は残ります)。 |
| 起きるミス | 前現場の名称や工期の残存、資格証の期限切れの見落とし、様式のバージョン違いが起きます。 | 様式が改訂されたときに、対応表の追随が漏れることがあります。AIによる期限計算の誤りは、関数で計算して回避します。 |
| 必要なスキル | 元請ごとの様式を覚えていることと、Excel転記の正確さが要ります。 | マスタの設計と項目対応の考え方、そして現場固有の危険を言葉にする力が要ります。 |
効果の見込み
労務安全書類について「業務を8割削減」といった数値が示されることがありますが、出典はいずれも当該サービスを販売する事業者の自社公表値です。建設業向けのAI研修を提供する事業者の記事も含まれ、当社が販促の根拠として引用するのは適切ではないと判断したため、ここでは数値を挙げません。効果は取引する元請の数、様式の改訂頻度、協力会社数で大きく変わります。自社では「1現場あたりの書類準備時間」と「元請からの差し戻し回数」を要実測としてください。差し戻し回数は月単位で数えると変化が見えやすくなります。
Steps
実際にやること
読んだ方がそのまま試せる粒度で書いています。出し惜しみはしません。各手順の説明とプロンプト例は「くわしく見る」を開くと読めます。
- 01
作業員マスタを1シートに統一する
くわしく見る
自社と協力会社の作業員情報を1シートにまとめます。列名は自社の呼び方で統一し、元請ごとの呼び方は別名列に持たせます。ここを分散させたままだと、以降の自動化がすべて崩れます。あわせて、協力会社からの情報提供の頻度と様式を決めます。月初に更新依頼シートを配り、月末までに返してもらう、といった形です。ここを決めないとマスタが古くなり、差し込みを自動にしても差し戻しは減りません。マスタは社内に置き、外部AIには貼り付けません。
- 02
様式との項目対応表をAIに作らせる
くわしく見る
元請の様式を1つずつAIに読ませ、自社マスタのどの列に当たるかを表にします。個人情報は入れず、様式と列名の一覧だけを渡すのが要点です。
プロンプト例
添付は元請A社の労務安全書類の様式(記入例つき)です。当社の作業員マスタの列名一覧を次に示します。 列名一覧: (氏名/氏名カナ/生年月日/雇入年月日/職種/保有資格/資格取得日/健康診断受診日/血圧/社会保険の種類/被保険者番号の有無/緊急連絡先の続柄) 次の列を持つ表を作ってください。 列: 様式の記入欄名 / 対応する当社マスタの列名(無ければ「該当なし」)/ 記入形式(和暦・西暦・カナ・数字・選択肢のいずれか)/ 注意点 最後に、当社マスタに存在せず新たに収集が必要な項目を一覧にしてください。 ルール: 実在する個人の情報は扱いません。列名と様式の構造だけを対象にしてください。
- 03
差し込みを自動化する
くわしく見る
対応表に、様式側のセル座標の列(例 C7、D7)を1列足します。差し込みは「マスタの値を、その座標へ書き込む」だけの処理になります。元請から届くのがExcel様式なら、Power Automate Desktop、Excel VBA、Python の openpyxl のいずれかで、テンプレートを開いて座標に値を入れ、別名で保存します。xlsxをGoogleスプレッドシートに変換すると結合セルと印刷範囲が崩れ、そのままでは提出できないため、Apps Scriptを使うのは様式もスプレッドシートに統一できる場合に限ります。PDFで届く様式は差し込みができないため、元請にExcel版の提供を依頼します。最初は1社分だけ作り、動いてから他社に広げます。
- 04
期限判定は関数で行う
くわしく見る
健康診断の受診日、職長・安全衛生責任者教育の受講日、保険の加入状況は、スプレッドシートの日付計算で判定します。玉掛けなどの技能講習と免許そのものに有効期限はありません。実務で期限として管理するのは、定期健康診断(労働安全衛生規則で1年以内ごとに1回)と、おおむね5年ごとに求められる職長・安全衛生責任者教育の再教育(能力向上教育)です。AIに日付計算をさせると桁や年をずらすため、提出予定日を入れると「提出時点で超過している行」が赤くなる作りにします。
- 05
施工計画書の変更箇所を洗い出す
くわしく見る
過去物件の施工計画書と今回の工事情報をAIに渡し、変える必要がある箇所を列挙させます。文章を書かせるのではなく、指摘に限定するのが安全です。
プロンプト例
以下は過去に提出して受理された施工計画書の本文です。今回の工事情報は次のとおりです。 今回の工事情報: 工事名/発注者/工期/所在地/主要工種/使用する主な機械 本文を読み、今回の工事情報と一致しない現場名、会社名、日付、数量、機械名が残っている箇所を、行単位で指摘してください。 ルール: 修正案は書かないでください。指摘のみを一覧にしてください。判断がつかない箇所は「要確認」として挙げてください。安全対策の内容そのものは評価しないでください。 本文: (貼り付け)
- 06
提出前の残存チェックを習慣にする
くわしく見る
完成した書類に対して、もう一度AIで固有名詞の残存チェックをかけます。人の目は、自分が書いた文章の誤りを見落としがちです。この工程を提出手順書に組み込み、担当が変わっても回るようにします。
Sample Data
この事例で使うサンプルデータ
実際に手を動かして試せるよう、サンプルを用意しています。すべて架空のデータです。お客様の実データは一切使用していません。
一式をまとめた形は、業界別レポートに同梱してお渡ししています。
Pitfalls
つまずきやすい点
精度が出ないときにどこを見るか。ここが分かるかどうかで、定着するかが決まります。見出しを開くと、確かめる箇所が読めます。
個人情報を外部AIに貼らない
期限判定をAIに任せない
様式は改訂される
安全対策を一般論で埋めない
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建設・住宅・リフォームのAI活用レポートをお送りします
この事例を含む5つの活用事例と、サンプルデータをまとめた資料です。社内での共有にお使いいただけます。
