FAXとメールで届く配送依頼のデータ化
荷主ごとに様式の違うFAX依頼書とメール添付の依頼書を、AIに決まった列のCSVへ読み取らせ、受注表への手入力と電話での確認を減らします。

- 対象部署
- 配車部門・営業事務
- 使う技術
- ChatGPTまたはClaudeの画像・PDF読み取り(帳票からの項目抽出) / 複合機のFAX受信をPDFで自動保存する設定 / Power AutomateまたはGoogle Apps Scriptによる添付ファイルの自動保存 / Googleスプレッドシートでの重複チェック(COUNTIFS)
- 必要な入力データ
- 直近1か月分の配送依頼書(FAXの受信PDF、メール添付のPDFやExcel) / 依頼件数の多い荷主上位5社分の様式サンプル / 荷主ごとの略号・用語表(例「4t平」「AM」「要リフト」の意味) / 自社の受注表の列定義(配車システムの取込用CSVの列順)
Before / After
人がやる場合と、AIを使った場合
効果だけを並べても判断できません。まず「今どうやっているか」を具体的に書きます。タブを切り替えて読み比べてください。
複合機のトレイから配車担当がFAXを取り、1枚ずつ内容を読み取ります。届け先、品名、個数、荷姿、重量、着日、時間指定、車種指定を、受注表または配車システムへ手入力します。メール添付のExcelやPDFも同じように開いて転記します。手書きの数量が読み取れない、荷主独自の略号の意味が前任者しか分からない、といった行は荷主へ電話で確認します。依頼が集中する夕方は入力が追いつかず、配車の着手が遅れます。
FAXは受信時にPDFで共有フォルダへ保存し、メール添付も同じフォルダに集めます。AIに読み取らせ、受注表と同じ列順のCSVで出力させます。荷主ごとの略号は用語表を一緒に渡して変換させ、判読が怪しい欄には印を付けさせます。配車担当は、読取信頼度が低い欄、着時間指定、個数と重量、危険品の有無を必ず目視で確認します。この確認と、荷主へ電話するかどうかの判断は人に残ります。確認済みの行だけを配車システムへ取り込む運用にします。
| 比較する軸 | 人がやる場合 | AIを使った場合 |
|---|---|---|
| 所要時間 | 1件ごとにFAXを取り、内容を読み、受注表へ手入力します。依頼が集中する夕方は入力が追いつかず、配車の着手が遅れます。 | PDFの自動保存とAIの読み取りが終わったあとは、確認欄のチェックだけになります。ただし確認の時間は残ります。削減幅は要実測です。 |
| 関わる人数 | 配車担当と営業事務で分担し、判読できない行は荷主へ電話して確認します。 | 配車担当だけで確認まで完結します。荷主への電話は、読取信頼度が低い行に限られます。 |
| 起きるミス | 個数の桁違い、着時間指定の見落とし、同じ依頼の二重入力が起きます。 | 略号の変換ミスと手書き数字の誤読は残ります。確認欄と重複チェックの関数で拾います。 |
| 必要なスキル | 荷主ごとの様式と略号を記憶していることが前提になります。 | 用語表を更新していく力と、CSVをスプレッドシートに取り込む操作が要ります。 |
効果の見込み
要実測。1件あたりの入力時間と、荷主への確認電話の件数を導入前に2週間分記録してください。件数の多い1社で先に測ると、全社展開したときの見込みが立てやすくなります。
Steps
実際にやること
読んだ方がそのまま試せる粒度で書いています。出し惜しみはしません。各手順の説明とプロンプト例は「くわしく見る」を開くと読めます。
- 01
依頼件数の多い荷主5社の様式を集める
くわしく見る
直近1か月分の依頼書を荷主ごとに分けて並べます。全荷主を一度に対象にせず、件数の多い5社から始めます。様式が固定されている荷主のほうが精度が出やすいため、最初の1社はそこから選びます。紙しかない依頼書はスキャンしてPDFにしておきます。
- 02
荷主ごとの略号・用語表を作る
くわしく見る
「4t平」「AM」「要リフト」「着指」といった略号を、意味と一緒にスプレッドシートへ書き出します。ここは前任者やベテランに聞き取って作ります。この表がAIの読み取り精度を決めます。荷主が新しい略号を使い始めたら、この表に足すという運用も同時に決めてください。
- 03
FAXとメール添付をPDFで1か所に集める
くわしく見る
複合機のFAX受信をPDFでメール転送する設定にし、受信メールの添付をPower AutomateまたはGoogle Apps Scriptで共有フォルダへ自動保存します。ファイル名は「受信日_荷主名_連番」で統一します。ここを自動にしておかないと、後の工程が手作業のままになります。
- 04
読み取りプロンプトを作って1社分で試す
くわしく見る
受注表と同じ列順でCSVを出させます。推測で補わせないこと、判読が難しい欄に印を付けさせることが要点です。まず10枚ほどで試し、間違った欄を数えます。1社で安定してから次の荷主に広げます。
プロンプト例
あなたは運送会社の受注入力担当です。 添付した配送依頼書(FAX受信のPDF画像)を読み取り、下記の列順でCSVを出力してください。 【列(この順で)】 受付日, 荷主名, 届け先名, 届け先住所, 品名, 個数, 荷姿, 重量kg, 着日, 着時間指定, 車種指定, 付帯作業, 備考, 読取信頼度 【ルール】 - 記載のない項目は空欄にする。推測で補わない - 個数と重量は数字のみ(単位は列名に含める) - 手書きで判読が難しい文字は、その値の末尾に「?」を付け、読取信頼度に「低」と入れる - 1枚に複数明細がある場合は、明細ごとに1行にする - 車種指定には車種のみを入れる。「要リフト」「手降ろし」など付帯作業に当たる語が車種欄に書かれている場合は、その語を付帯作業列へ移し、車種指定は空欄にしたうえで読取信頼度を「低」にする - 荷主の略号は次の用語表に従って変換する 4t平 → 4トン平ボディ AM → 午前着(12:00まで) 要リフト → 荷卸し先にフォークリフト手配あり 着指 → 着時間指定あり チャーター → 貸切便 最後に、読取信頼度が「低」の行だけを一覧にしてください。
- 05
確認欄を付けて受注表へ取り込む
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スプレッドシートの受注表に「確認者」「確認日時」の2列を足します。読取信頼度が低い行は色を付けて上に並べ、配車担当が確認したら名前を入れます。配車システムへの取込は、確認者が入っている行だけを対象にします。この一手間が誤配送を防ぎます。
- 06
二重依頼と依頼漏れをチェックする
くわしく見る
同じ依頼がFAXとメールで二重に届くことがあります。スプレッドシートのCOUNTIFS関数で「荷主名+届け先+着日+個数」が重複する行を検出します。あわせて、いつも依頼がある荷主から当日分が来ていない場合に気づけるよう、荷主別の受信件数を日ごとに並べる表も作ります。
- 07
精度を測って対象荷主を広げる
くわしく見る
1社ごとに「読み取った項目数」と「人が直した項目数」を2週間記録します。直しの多い項目が用語表で解決するのか、様式そのものが読みにくいのかを切り分けます。読み取りにくい様式の荷主には、依頼書の様式変更をお願いするという選択肢もここで検討します。
Sample Data
この事例で使うサンプルデータ
実際に手を動かして試せるよう、サンプルを用意しています。すべて架空のデータです。お客様の実データは一切使用していません。
一式をまとめた形は、業界別レポートに同梱してお渡ししています。
Pitfalls
つまずきやすい点
精度が出ないときにどこを見るか。ここが分かるかどうかで、定着するかが決まります。見出しを開くと、確かめる箇所が読めます。
荷主が様式を変えると読み取りが崩れる
個数と重量の単位を取り違える
手書きの日付と時間指定は誤読が残る前提で組む
荷主が欄をまたいで記入してくる
精度が出ないときに見る順番を決めておく
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