株式会社プレラナ
難易度 運送・物流総務・人事属人化している

運行ルール・手順書に答える社内チャット

運行管理規程、荷主別の構内ルール、事務手順書をAIチャットに読み込ませ、出典付きで答えさせます。法令にかかわる判断は運行管理者に残します。

運送・物流の現場で、運行ルール・手順書に答える社内チャットに取り組んでいる様子
対象部署
総務・運行管理部門
使う技術
NotebookLM(社内文書を読み込ませて出典付きで回答させる) / ChatGPTのプロジェクト機能(複数文書をまとめて参照させる) / Microsoft 365 Copilot(SharePoint上の文書を参照させる場合) / 文書の版管理ルール(ファイル名への改定日付の付与)
必要な入力データ
運行管理規程、就業規則の運行関連部分、点呼の実施手順書(PDFまたはWord) / 荷主別の構内ルール(入門手続き、指定車路、荷降ろし場所、服装、待機場所) / 事務手順書(日報の書き方、高速代の精算、アルコールチェックの記録先) / 現場から実際に出た質問30問のリスト

Before / After

人がやる場合と、AIを使った場合

効果だけを並べても判断できません。まず「今どうやっているか」を具体的に書きます。タブを切り替えて読み比べてください。

新人ドライバーや事務担当が「この荷主の構内ルールはどうなっているか」「フェリーを使った日の日報はどう書くか」「アルコールチェックの記録はどこに残すのか」を運行管理者に口頭で聞きます。運行管理者は点呼の合間に答えます。規程集はキャビネットのバインダーと共有フォルダのWordに分かれていて、どちらが最新か分かりません。同じ質問が毎月繰り返され、答える人によって内容が違うことがあります。改定した手順が現場に伝わらず、古いやり方が続いている箇所もあります。

人がやる場合とAIを使った場合を、軸ごとに並べた表です。
比較する軸人がやる場合AIを使った場合
所要時間質問のたびに運行管理者を探して聞きます。点呼の時間帯は、答えが返るまで待つことになります。手元のチャットで調べ、該当箇所を確認します。管理者へ回るのは、判断が必要な質問だけです。削減幅は要実測です。
関わる人数聞く人と運行管理者の2者が関わり、管理者が不在だと答えられる人がいません。聞く人が自分で調べます。管理者が関わるのは、法令の判断が必要な質問に限られます。
起きるミス古い版の手順を教えてしまう、答える人によって内容が違う、といったことが起きます。文書に書かれていない事項をAIが作文することがあります。出典を必ず出させ、人が原文を見て防ぎます。
必要なスキル規程のどこに何が書いてあるかを覚えていることが前提です。質問を具体的に書く力と、示された出典の原文を自分で開いて確かめる習慣が要ります。

効果の見込み

要実測。運行管理者が口頭の質問に答えていた時間を、導入前に2週間分だけ記録してください。あわせて「同じ質問が繰り返された件数」と「チャットが記載なしと返した件数」を月ごとに数えると、文書側の不足が見えてきます。

Steps

実際にやること

読んだ方がそのまま試せる粒度で書いています。出し惜しみはしません。各手順の説明とプロンプト例は「くわしく見る」を開くと読めます。

  1. 01

    文書の棚卸しをして最新版を1つに決める

    くわしく見る

    所要期間はこの工程で決まります。文書が最新版に整っていれば全体で数日、棚卸しから始める場合は1か月程度かかります。キャビネットのバインダー、共有フォルダ、個人のPCに散らばっている文書を集め、同じ内容のものを並べます。改定日で最新を判断し、それ以外は別フォルダへ移します。ここで古い版が混ざると、以降の回答がすべて信用できなくなります。この工程に一番時間をかけてください。

  2. 02

    ファイル名に改定日を入れて版を管理する

    くわしく見る

    「運行管理規程_20260401改定.pdf」のように、ファイル名の末尾へ改定日を入れます。改定したら新しいファイルを作り、古い版は「旧版」フォルダへ移します。上書き保存はしません。誰がいつ改定したかを1行で記録する台帳も、同じフォルダに置いておきます。

  3. 03

    AIチャットに文書を読み込ませる

    くわしく見る

    NotebookLMに文書をまとめて投入するのが最も手軽です。社内のSharePointに文書がある場合はMicrosoft 365 Copilot、少数の文書ならChatGPTのプロジェクト機能でも構いません。どのサービスでも、社外秘の文書を投入する前に、入力内容の扱いを契約と設定で確認してください。

  4. 04

    出典を必ず出させるプロンプトを設定する

    くわしく見る

    回答の形式を固定し、書かれていないことは答えないよう指示します。法令にかかわる質問は案内までにとどめる指示も、ここに入れます。この指示文はチャットの設定欄やプロジェクトの指示欄に登録し、毎回貼り直さなくて済むようにします。

    プロンプト例

    あなたは当社の運行管理と事務手順を案内する社内アシスタントです。
    読み込んだ社内文書だけを根拠に、次の形式で回答してください。
    
    1. 結論(2文以内)
    2. 根拠(文書名・章・ページ番号を必ず示す)
    3. 該当箇所の引用(3行以内・原文のまま)
    4. この回答で判断してよい範囲
    
    守ること:
    - 読み込んだ文書に書かれていないことは答えず、「社内文書に記載がありません。運行管理者に確認してください」と返す
    - 点呼、拘束時間、積載制限、労働時間に関する質問は、該当箇所の案内までにとどめ、可否の判断はしない
    - 荷主別の構内ルールは、荷主名が特定できない場合は聞き返す
    - 複数の文書で内容が食い違う場合は、両方を示したうえで「内容が異なります。運行管理者に確認してください」と返す
  5. 05

    答えさせない領域を決めて社内に周知する

    くわしく見る

    法令解釈、個人の処遇、事故対応の初動、荷主とのトラブル対応は、チャットに答えさせない領域として決めます。回答の最後に「この回答で判断してよい範囲」を書かせているのは、この線引きを利用者に見せるためです。決めた内容は紙1枚にして、点呼場所と事務所に貼り出します。

  6. 06

    想定質問30問でテストする

    くわしく見る

    現場から実際に出た質問を30問集め、1問ずつ試します。正しい出典が示されたか、書かれていない質問に「記載がありません」と返せたかを記録します。誤りが多い分野は、その文書の作りが原因であることが多いです。目次がない、表が画像になっている、といった点を直すと改善します。

  7. 07

    月次で文書を更新し、古い版を外す

    くわしく見る

    改定した文書を差し替え、旧版をフォルダから外します。この作業を誰が行うかを決めないと、半年で使われなくなります。あわせて、その月に「記載がありません」と返された質問を集めてください。文書に足すべき内容が、そこに並んでいます。

Sample Data

この事例で使うサンプルデータ

実際に手を動かして試せるよう、サンプルを用意しています。すべて架空のデータです。お客様の実データは一切使用していません。

一式をまとめた形は、業界別レポートに同梱してお渡ししています。

Pitfalls

つまずきやすい点

精度が出ないときにどこを見るか。ここが分かるかどうかで、定着するかが決まります。見出しを開くと、確かめる箇所が読めます。

古い版が混ざると誤った案内になる
同じ規程の旧版が同じフォルダにあると、AIは両方を根拠にします。改定前の手順を自信を持って答えるため、聞いた人は気づけません。読み込ませる前に必ず版を1つに絞ってください。回答が食い違う文書を見つけたら「内容が異なります」と返すよう指示しておくのも有効です。
出典を出させないと文章を作る
文書名とページ番号を出させないと、それらしい内容が返ってきます。運行のルールは、間違った案内が安全に直結します。出典の形式を指定し、利用者には「示された箇所を自分で開いて確かめる」ことを最初に伝えてください。精度が出ないときは、文書の目次と見出しが整っているかを先に確認します。
法令にかかわる質問の線引きを曖昧にしない
点呼、拘束時間、積載制限は、社内文書の記載だけで可否を決められません。プロンプトで「案内までにとどめ、可否の判断はしない」と明記し、社内にも周知します。この線引きを決めないまま運用を始めると、誰かがチャットの回答を根拠に判断してしまいます。導入前に必ず決めてください。
質問が集まらず使われなくなる
仕組みを作っても、聞き慣れた相手に直接聞く習慣は残ります。最初の1か月は、運行管理者が口頭で質問を受けたときに「その質問をチャットにも入れてみてください」と案内します。点呼場所にアクセス用のQRコードを貼るのも効きます。使われた質問の記録が、文書を改善する材料になります。

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この事例を含む5つの活用事例と、サンプルデータをまとめた資料です。社内での共有にお使いいただけます。