傭車費請求書と運行実績の突合チェック
傭車先から届く請求書PDFをAIに明細化させ、自社の運行実績表と突き合わせて差異のある行だけを抽出し、月末月初の照合作業を絞り込みます。

- 対象部署
- 経理・業務管理部門
- 使う技術
- ChatGPTまたはClaudeによる請求書PDFの明細抽出 / AIによる2つの表の突合と差異分類 / GoogleスプレッドシートまたはExcelでの再検算(XLOOKUP、XLOOKUPが使えない環境ではINDEX+MATCH、合計はSUMIFS) / 表記ゆれ辞書の作成(便名・区間名の統一)
- 必要な入力データ
- 傭車先から届いた請求書(PDF、FAXのスキャン、メール添付のExcel) / 自社の運行実績表(運行日、傭車先、便名、区間、車種、運賃、待機料、高速代のCSV) / 傭車先ごとの単価表(基本運賃、待機料の単価、燃料サーチャージの条件) / 便名と区間名の表記ゆれ辞書
Before / After
人がやる場合と、AIを使った場合
効果だけを並べても判断できません。まず「今どうやっているか」を具体的に書きます。タブを切り替えて読み比べてください。
月初に傭車先10社前後から請求書がFAX、郵送、メール添付で届きます。経理担当が自社の運行実績表を開き、請求書の明細と1行ずつ照合します。金額が合わない行に付箋を貼り、配車係に「この日この便を実際に頼んだか」を確認します。理由が分からない行は傭車先へ電話して確認します。この作業が月末月初の数日に集中し、経理担当の残業が伸びます。高速代の立替分が二重に計上されている、待機料の単価が改定前のまま、キャンセルした便が請求に残っている、といった行が毎月いくつか出ます。
請求書PDFをAIに読ませ、明細を決まった列の表に起こします。自社の運行実績表と突き合わせ、「一致」「金額差あり」「実績なし」「請求漏れ」に「要確認」を加えた5分類に仕分けさせます。判定に迷った行を無理にどれかへ寄せさせず、「要確認」として理由を書かせることが要点です。経理担当は差異のある行だけを見て、傭車先へ確認するか、支払を保留するかを判断します。この判断は人に残ります。AIの一致判定は鵜呑みにせず、金額の合計はスプレッドシートの関数で再計算して原本と突き合わせます。支払の最終承認は人が行います。
| 比較する軸 | 人がやる場合 | AIを使った場合 |
|---|---|---|
| 所要時間 | 10社分の請求書を1行ずつ実績表と照合するため、作業が月末月初の数日に集中します。 | 差異として抽出された行だけを確認します。全件を目で追う照合はなくなります。削減幅は要実測です。 |
| 関わる人数 | 経理担当が照合し、疑問の残る行ごとに配車係へ確認し、傭車先へ電話します。 | 経理担当が差異のある行を確認し、配車係への確認は分類「実績なし」の行に絞られます。 |
| 起きるミス | 高速代の立替分の二重計上、待機料の単価違いの見落とし、キャンセル便の請求残りが起きます。 | 便名の表記ゆれで別の便として扱われることがあります。関数での再検算と合計金額の照合で拾います。 |
| 必要なスキル | 傭車先ごとの請求書の癖と、過去の取り決めを覚えていることが前提です。 | 照合キーを設計する力と、スプレッドシート関数で再検算する操作が要ります。 |
効果の見込み
要実測。傭車先の社数、請求書の様式、明細行数で作業時間は大きく変わります。導入前の1か月について「照合にかかった時間」「傭車先へ確認の電話をした件数」「支払後に判明した誤りの件数」を記録し、導入後に同じ方法で比較してください。
Steps
実際にやること
読んだ方がそのまま試せる粒度で書いています。出し惜しみはしません。各手順の説明とプロンプト例は「くわしく見る」を開くと読めます。
- 01
運行実績表の列を固定し、照合キーを作る
くわしく見る
傭車に出した便に「運行日」「傭車先名」「便名または区間」の3つが必ず入るようにします。この3つを組み合わせたものが照合キーになります。今の実績表に便名がなければ、まず配車の時点で付ける運用に変えます。ここが整わないと、後の工程は何をしても合いません。
- 02
請求書PDFを明細表に起こす
くわしく見る
AIに請求書を読ませ、決まった列のCSVで出させます。金額は数字のみにし、記載のない費用は0ではなく空欄にさせます。0を入れると「無料だった」のか「記載がなかった」のかが区別できなくなります。合計欄と明細の積み上げが合わない請求書は、その時点で印を付けさせます。
プロンプト例
添付の請求書PDFを読み取り、明細をCSVにしてください。 【列(この順で)】 請求元, 請求年月, 運行日, 便名または区間, 車種, 基本運賃, 待機料, 高速代, その他費用, 明細合計, 摘要 【ルール】 - 金額は数字のみ(カンマと円記号を除く) - 記載のない費用は0ではなく空欄にする - 合計欄と明細の積み上げが一致しない場合は、最終行に「不一致: 差額◯円」と記載する - 手書きの追記があれば、その内容を摘要にそのまま転記する - 消費税は明細に含めず、最終行に税抜合計と税額を分けて記載する 読み取りが不確かな欄は、値の末尾に「?」を付けてください。
- 03
2つの表を突き合わせて5分類に仕分けさせる
くわしく見る
照合キーを明示し、分類ごとに表を出させます。迷った行を無理に分類させず、要確認として理由を書かせることが要点です。合計金額はAIに自分で再計算させ、検算結果も出させます。
プロンプト例
自社の運行実績表と、傭車先の請求明細を突き合わせてください。 照合キーは「運行日 + 傭車先 + 便名」です。 次の5分類で全行を仕分け、分類ごとに表を出してください。 1. 一致(金額まで一致) 2. 金額差あり(実績金額・請求金額・差額を併記) 3. 実績なし(請求にはあるが実績表にない) 4. 請求漏れ(実績表にはあるが請求にない) 5. 要確認(判定に迷った行。迷った理由を必ず書く) 最後に、分類ごとの件数と金額合計を出してください。 金額の合計はあなた自身で再計算し、計算過程も示してください。 便名の表記が異なる場合は、添付の表記ゆれ辞書に従って同一と判断してください。辞書にない表記は勝手に同一とみなさず、5の要確認に入れてください。 【運行実績表】(CSVを貼り付け) 【請求明細】(CSVを貼り付け) 【表記ゆれ辞書】(CSVを貼り付け)
- 04
スプレッドシートの関数で再検算する
くわしく見る
AIの一致判定をそのまま信じません。実績表と請求明細をそれぞれスプレッドシートに貼り、照合キーを結合した列を作ってXLOOKUPで突き合わせます。XLOOKUPはExcel 2019以前では使えず#NAME?になるため、その環境ではINDEX+MATCHの数式を使います。テンプレートには両方の列を並べてあります。傭車先ごとの合計はSUMIFSで出し、請求書の原本の合計金額と一致するかを確認します。AIの分類と関数の結果が食い違う行は、必ず人が見ます。
- 05
差異一覧の形式と確認担当を決める
くわしく見る
分類ごとに誰が確認するかを先に決めます。「金額差あり」は経理担当が単価表と照合、「実績なし」は配車係へ確認、「請求漏れ」は傭車先へ連絡、「要確認」は経理担当と配車係が請求書の原本を一緒に見る、という具合です。差異一覧のシートに担当者欄と確認結果欄を作り、月ごとに残します。同じ傭車先で同じ差異が続く場合は、単価の取り決め自体を見直す材料になります。
- 06
支払の承認は人が行う運用にする
くわしく見る
AIの突合結果は、確認すべき行を絞り込むためのものです。支払データの作成と承認は、これまでどおり人の手順で行います。差異が0件だった月ほど確認が形骸化しやすいため、毎月必ず抜き取りで3行を原本と照合する、といった決まりを入れておきます。
Sample Data
この事例で使うサンプルデータ
実際に手を動かして試せるよう、サンプルを用意しています。すべて架空のデータです。お客様の実データは一切使用していません。
Excel
260726_突合結果_テンプレ.xlsx
突合結果と差異一覧をまとめるシート様式。関数での再検算欄を含みます。Googleスプレッドシートで作り、xlsx形式でも配布します。
一式をまとめた形は、業界別レポートに同梱してお渡ししています。
Pitfalls
つまずきやすい点
精度が出ないときにどこを見るか。ここが分かるかどうかで、定着するかが決まります。見出しを開くと、確かめる箇所が読めます。
AIが出した合計金額を信じない
便名と区間名の表記ゆれで別便として扱われる
高速代の立替と燃料サーチャージを分けて持つ
差異0件の月ほど確認が形骸化する
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次は「運行ルール・手順書に答える社内チャット」を読んでください。突合で見つかった単価の取り決めや、傭車先ごとの請求ルールを文書にまとめておくと、この事例の確認作業そのものが減ります。
運送・物流のAI活用レポートをお送りします
この事例を含む5つの活用事例と、サンプルデータをまとめた資料です。社内での共有にお使いいただけます。
