家族向けお知らせ・連絡文書の作成支援
面会ルールの変更、行事案内、利用料改定などのお知らせを、施設で決めた型と入力メモからAIに下書きさせます。事実関係の確定と公表範囲の判断は、施設長と生活相談員が行います。

- 対象部署
- 生活相談員・事務
- 使う技術
- ChatGPT または Claude による定型文書の下書き作成 / Googleドキュメントによる雛形集の管理(種類別に見出しで整理) / Googleスプレッドシートによる入力メモの一元管理 / 施設の文書ルール表(敬称、日付表記、連絡先の書き方を統一) / 既存の印刷環境(下書きを確認後、施設の書式へ流し込む)
- 必要な入力データ
- お知らせ雛形集(.docx・種類別の型と必須記載項目) / 入力メモ(.csv・日時、対象、変更点、問い合わせ先などの事実だけを記入したもの) / 施設の文書ルール表(.csv・敬称の統一、日付表記、避ける表現) / 過去の同種のお知らせ(表現の統一のため参考として使用)
Before / After
人がやる場合と、AIを使った場合
効果だけを並べても判断できません。まず「今どうやっているか」を具体的に書きます。タブを切り替えて読み比べてください。
生活相談員が、行事の日程が決まった段階で文面を書き始めます。過去の似たお知らせを探しますが、フォルダのどこにあるか分からず、探すより書いた方が早いと判断します。白紙から書き起こし、日時、場所、持ち物、申込方法、問い合わせ先を並べます。書き上げた後で、施設長に見せると「持ち物の記載が抜けている」「この表現は誤解を招く」と戻ります。差し戻しと修正で2往復し、印刷して掲示と配布にかかります。感染症の発生報告のような急ぎの文書では、この往復の時間がそのまま連絡の遅れになります。書き手によって敬語の丁寧さや必須項目の有無に差が出ますが、その差を直す仕組みはありません。
お知らせの種類ごとに型を用意し、事実だけを入力メモに書きます。入力メモに書くのは、日時、対象、変更点、問い合わせ先といった項目だけで、文章にはしません。この入力メモと雛形集と文書ルール表をAIに渡し、下書きを作らせます。必須記載項目が埋まっていない場合は、下書きの代わりに不足項目の一覧を返させます。人に残るのは3つの判断です。第1に、書かれた事実が正しいかの確認。第2に、どこまでを家族に伝えるかという公表範囲の判断。第3に、施設としての姿勢をどう表すかという表現の決定です。感染症の発生報告では、個人が特定される情報を含めないという判断が特に重要になります。AIの下書きをそのまま配布する運用は行いません。施設長の確認を経てから配布します。
| 比較する軸 | 人がやる場合 | AIを使った場合 |
|---|---|---|
| 所要時間 | 1件あたり40〜90分かかります(施設長との差し戻し2往復を含みます)。 | 入力メモの記入が5〜10分、下書き生成が1〜2分、確認と修正が10〜20分です(自社での実測が必要です)。 |
| 関わる人数 | 生活相談員1名に加え、差し戻しのたびに読み直す施設長と、体裁調整と印刷を担う事務員1名が関わります。 | 生活相談員1名と、確認1回を担う施設長だけになります。 |
| 起きるミス | 必須記載項目の抜け、日付と曜日の不一致、問い合わせ先の記載漏れ、書き手による丁寧さのばらつきが起きます。 | AIが入力メモに無い内容を推測で補う、感染症報告で個人が特定される記述が残る、断定を避けるべき箇所で断定する、といった誤りが起きます。 |
| 必要なスキル | 案内文の書き方の慣れと、施設長の指摘を予測する経験が要ります。 | 事実を項目に分けて書き出す力と、公表範囲を判断する力が要ります。 |
効果の見込み
家族向け文書の作成時間について、介護分野で公的機関が公表した削減率の統計は確認できていません。文書の種類と施設の規模で条件が大きく異なるため、他業種の数値を当てはめることも避けてください。自社では、直近3か月に出したお知らせの件数を数え、1件あたりの作成時間と施設長への差し戻し回数を記録することから始めてください(要実測)。差し戻し回数は、必須記載項目の設計が適切かを測る指標になります。
Steps
実際にやること
読んだ方がそのまま試せる粒度で書いています。出し惜しみはしません。各手順の説明とプロンプト例は「くわしく見る」を開くと読めます。
- 01
お知らせの種類を洗い出し、型を5つに絞る
くわしく見る
過去1年に出したお知らせをすべて集め、種類ごとに分けます。多くの施設では、行事案内、面会ルールの変更、感染症の発生報告、利用料と制度改定の案内、施設からの依頼事項の5種類に収まります。この5種類それぞれについて、必須記載項目を書き出します。行事案内なら、日時、場所、対象、持ち物、申込期限、申込方法、問い合わせ先、雨天時の扱いの8項目です。項目が決まっていないと、AIは何を埋めるべきか判断できません。
- 02
文書ルール表を作る
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敬称の統一(ご家族様か、ご家族の皆様か)、日付表記(2026年10月1日か、令和8年10月1日か)、時刻表記、施設名の正式表記、問い合わせ先の書き方を1つの表にまとめます。あわせて、避ける表現も書き出します。たとえば「ご協力をお願いいたします」で終わるのか「ご理解を賜りますようお願い申し上げます」で終わるのか、施設としての標準を決めます。書き手ごとの差は、この標準が無いことから生まれます。
- 03
事実だけを書く入力メモの形式を決める
くわしく見る
スプレッドシートに、種類ごとの入力欄を用意します。列は「お知らせ種別/項目名/内容」の3列で、必須記載項目が行としてあらかじめ並んでいる形にします。ここに文章を書かせないことが重要です。文章を書き始めると、結局は白紙から書くのと同じ時間がかかります。日時なら「2026年10月15日 14時から15時30分」とだけ書きます。曜日は書かず、AIに計算させず、後述の手順で確認します。
- 04
下書きを作らせるプロンプトを用意する
くわしく見る
雛形集、文書ルール表、入力メモの3つを渡します。必須記載項目が埋まっていない場合に下書きを作らせないことが要点です。空欄のまま下書きを作らせると、AIが一般的な内容で埋めてしまい、確認する側が気づきにくくなります。
プロンプト例
あなたは介護施設の家族向け文書の作成を補助します。以下の【文書ルール】【雛形】【入力メモ】をもとに、お知らせの下書きを作ってください。 手順: 1. 入力メモに必須記載項目がすべて埋まっているかを確認してください 2. 1つでも空欄がある場合は、下書きを作らず「不足項目:(項目名を列挙)」とだけ返してください 3. すべて埋まっている場合のみ、下書きを作ってください 条件: - 入力メモに書かれていない事実は絶対に補わないでください - 日付に曜日を付けないでください。曜日は人が確認して追記します - 文書ルールで指定した敬称、日付表記、締めの表現に従ってください - 本文は400字以内、箇条書きを活用し、家族が一読して行動できる形にしてください - 下書きの末尾に「確認が必要な点」を箇条書きで付けてください。入力メモから読み取れず、施設の判断が必要な事項を挙げてください 【文書ルール】 (文書ルール表をコピーして貼り付け) 【雛形】 (該当する種別の雛形を貼り付け) 【入力メモ】 (入力メモの該当種別の行をコピーして貼り付け)
- 05
感染症の発生報告だけは別の手順にする
くわしく見る
感染症の発生を家族へ知らせる文書は、他の種類と同じ扱いにしません。理由は2つあります。第1に、個人が特定される記述が入りやすいこと。第2に、行政への報告と家族への連絡で書ける範囲が異なることです。この種別では、入力メモに個人が特定される情報を書かないルールにし、AIには発生状況の数と施設の対応だけを扱わせます。判断が必要な事項は必ず施設長へ上げる手順にします。
プロンプト例
以下の【入力メモ】をもとに、感染症の発生に関する家族向けお知らせの下書きを作ってください。 絶対に守る条件: - 個人が特定される記述を一切含めないでください。居室番号、氏名、性別、年齢、ユニット名、発症日を個人単位で書かないでください - 発生の人数と、施設が実施している対応、家族へのお願いのみを書いてください - 原因や感染経路について推測を書かないでください - 収束の見通しを断定しないでください - 「現時点で判明している内容です」という趣旨の一文を必ず入れてください 下書きの後に、次の2つを分けて出してください。 (1) 施設長の判断が必要な点(公表範囲、面会制限の期間、次回の連絡時期) (2) 本文に書かなかったが、行政への報告では必要になる可能性がある項目 【入力メモ】 (貼り付け)
- 06
日付と曜日を機械で確認してから配布する
くわしく見る
AIに曜日を計算させると誤ることがあります。下書きでは曜日を書かせず、配布前に人が確認して追記します。確認はカレンダーで行い、目視だけで済ませません。行事案内の曜日が1日ずれると、当日に家族が来られない事態になります。あわせて、申込期限が土日祝に当たっていないか、問い合わせ先の電話番号が現在のものかも、この段階で確認します。
Sample Data
この事例で使うサンプルデータ
実際に手を動かして試せるよう、サンプルを用意しています。すべて架空のデータです。お客様の実データは一切使用していません。
一式をまとめた形は、業界別レポートに同梱してお渡ししています。
Pitfalls
つまずきやすい点
精度が出ないときにどこを見るか。ここが分かるかどうかで、定着するかが決まります。見出しを開くと、確かめる箇所が読めます。
入力メモに文章を書き始めてしまう
感染症の発生報告で個人が特定される記述が残る
AIが曜日や締切を推測で書く
制度改定の案内で、根拠の確認を省略する
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次は「外国人スタッフ向け多言語マニュアル・連絡支援」を読んでください。家族向け文書で作った文書ルール表と雛形の考え方は、そのまま職員向けの手順書にも使えます。伝える相手が変わるだけで、事実を項目に分けて型に流す構造は同じです。
介護・福祉のAI活用レポートをお送りします
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