株式会社プレラナ
難易度 製造業営業・見積書類作成に時間がかかる

図面と見積依頼書からの見積下書き作成

見積依頼書と図面PDFから部材表を書き出させ、過去見積の実績から類似案件を引いて見積の下書きを作ります。

製造業の現場で、図面と見積依頼書からの見積下書き作成に取り組んでいる様子
対象部署
営業部 見積課/技術部
使う技術
Claude / ChatGPT のPDF・画像読み取り(図面と依頼書の添付) / 過去見積実績のデータベース化(Googleスプレッドシート) / 生成AIによる条件指定での類似案件抽出 / 見積書テンプレート(Excel)と材料単価表・加工賃レート表
必要な入力データ
見積依頼書のPDF(客先の様式のまま) / 図面PDF(外形図・部材リスト・注記欄が読める解像度) / 過去見積実績の一覧(見積番号・客先・製品・材質・板厚・員数・加工工程・提出金額・提出単価・受注可否・失注理由) / 材料単価表(材質・板厚・kg単価)と加工賃レート表(工程別の分単価)

Before / After

人がやる場合と、AIを使った場合

効果だけを並べても判断できません。まず「今どうやっているか」を具体的に書きます。タブを切り替えて読み比べてください。

客先からメールで見積依頼書と図面PDFが届きます。営業担当が図面を開き、部材の寸法と員数を1点ずつ拾って表に書き出します。似た案件がないか、過去の見積フォルダをファイル名で探します。ファイル名は日付と客先名だけなので、材質や板厚では探せません。見つからないときは、ベテランの見積担当に口頭で聞きます。材料費と加工時間を積み上げ、Excelの見積書へ入力します。図面の読み方と工程の当たりがベテラン1人に集中し、その人が現場に出る日は見積が翌日に回ります。

人がやる場合とAIを使った場合を、軸ごとに並べた表です。
比較する軸人がやる場合AIを使った場合
所要時間図面から部材を拾う作業と、過去案件を探す作業に時間の大半が消えます。ベテラン待ちの日は翌日回しになります。部材表の書き出しと類似案件の提示が一度に済み、人は妥当性の確認から始められます。短縮幅は要実測です。
関わる人数営業担当、ベテラン見積担当、必要に応じて技術部の3者が関わります。営業担当が下書きまで作り、ベテランは最終確認の1回だけ関わります。
起きるミス員数の拾い漏れ、板厚の取り違え、似た過去案件を見つけられず単価が前回と食い違うことが起きます。AIの部材拾いにも漏れは出ます。ただし図面と部材表を並べて突き合わせる形になり、漏れに気づきやすくなります。
必要なスキル図面を読む力と、過去案件を記憶しているベテランの経験に依存します。図面を読む力は引き続き必要です。加えて、過去実績を検索できる表に整えて維持する作業が要ります。

効果の見込み

要実測です。「見積1件あたりの作成時間×月間見積件数」を導入前2か月分測り、同じ条件で比較してください。あわせて、提出した見積の粗利率が下書き導入の前後で変わっていないかも記録します。他社が公表している削減率は、専用に開発された仕組みの値であることが多く、汎用の生成AIに図面PDFを渡す本事例とは前提が異なります。自社の実測のみを判断材料にしてください。

Steps

実際にやること

読んだ方がそのまま試せる粒度で書いています。出し惜しみはしません。各手順の説明とプロンプト例は「くわしく見る」を開くと読めます。

  1. 01

    過去見積を1枚の表にする

    くわしく見る

    精度はここで決まります。案件フォルダに散らばった見積書から、見積番号・提出日・客先名・案件名・製品名・材質・板厚と断面・員数・加工工程・材料費・加工費・提出金額(総額)・提出単価(提出金額÷員数)・受注可否・失注理由の15列を抜き出し、1件1行の表にします。金額は、総額の列と1単位あたりの単価の列を必ず分けてください。ここが1列にまとまっていると、次の見積で員数を掛ける対象が分からなくなり、桁がひとつ違う下書きが出ます。直近2年分で構いません。失注理由の列を入れておくと、「安すぎる単価を引っ張ってくる」事故を防げます。この作業は外注せず、見積担当が自分で列を決めてください。

  2. 02

    図面から部材表を書き出させる

    くわしく見る

    図面PDFを添付し、出力する列と「不明は不明と書く」ルールを指定します。注記欄は部材表に混ぜず、別に全文を書き出させることが重要です。注記の溶接記号や表面処理は金額に直結し、人が必ず読む必要があります。

    プロンプト例

    添付は物流施設向け鋼構造物の製作図です。次の2つを順に出力してください。
    
    【1. 図面情報】
    工事名/図番/縮尺/作成日を、表題欄から書き出してください。
    
    【2. 部材表】
    次の形式のCSVにしてください。
    部材記号,部材名,材質,板厚mm,寸法mm,員数,備考
    
    【3. 注記】
    注記欄・特記事項欄に書かれている内容を、要約せず全文そのまま書き出してください。溶接記号、開先形状、表面処理、公差、検査要求が含まれる場合は必ず残してください。
    
    【ルール】
    ・図面に書かれていない項目は「不明」と書き、推測しないでください。
    ・寸法が読み取れない場合も「不明」としてください。近い数値で埋めないでください。
    ・部材表の最後に、員数の合計と部材点数を書いてください。
  3. 03

    過去実績から類似案件を挙げさせる

    くわしく見る

    部材表が固まったら、過去見積実績のCSVを添付して類似案件を引きます。無理に3件出させないことがポイントです。近い案件がないのに3件出させると、条件の遠い案件の単価が混ざります。

    プロンプト例

    添付は当社の過去見積実績です。次の条件に近い案件を最大3件選んでください。
    
    【今回の条件】
    材質:SS400/板厚:9mm/加工工程:切断+開先加工+溶接/員数:48/納期:3週間/客先:物流施設の元請
    
    【出力】
    見積番号,客先,製品名,材質,板厚・断面,員数,加工工程,提出金額,提出単価,受注可否,失注理由,選んだ理由
    
    【ルール】
    ・提出金額は総額、提出単価は1単位あたりの金額です。両方をそのまま転記し、計算し直さないでください。
    ・選んだ理由は「材質」「板厚」「加工工程」「員数の桁」の4点で説明してください。
    ・条件が近い案件が3件ない場合は、無理に3件出さず「該当2件」のように件数を明記してください。
    ・失注した案件を選んだ場合は、その単価をそのまま参考にしないよう注記してください。
  4. 04

    レート表から積み上げて下書きを作る

    くわしく見る

    単価はAIに考えさせず、材料単価表と加工賃レート表からしか引かせません。プロンプトに「レート表にない工程の単価は空欄にし、備考にレート未設定と書く」と指定します。AIの役割は、部材表の員数と工程をレート表に掛け合わせて今回の提出金額と提出単価を出し、類似案件の提出単価と並べて差を示すところまでです。比較は必ず単価どうしで行わせてください。総額どうしを比べると、員数が違うだけで差が出たように見えます。差が出た理由の説明は、人が読んで判断します。

  5. 05

    見積担当の確認項目をチェックリストにする

    くわしく見る

    下書きを提出前に確認する項目を、紙1枚のチェックリストにします。最低限、部材点数と員数合計が図面と合っているか、注記の表面処理と検査要求が金額に入っているか、類似案件との単価差の理由を説明できるか、客先ごとの支払条件と値引き方針を当てているか、の4点を入れます。チェックは見積担当が行い、AIには行わせません。

  6. 06

    提出後の結果を実績表へ戻す

    くわしく見る

    見積を出したら、受注可否と失注理由を実績表へ必ず書き戻します。この1行の追記が止まると、翌月から類似案件の提示が古い単価しか返さなくなります。提出時にその場で行として追加し、結果は決まった時点で更新する運用が続きやすい形です。月1回、追記漏れがないかを見積課で確認します。

Sample Data

この事例で使うサンプルデータ

実際に手を動かして試せるよう、サンプルを用意しています。すべて架空のデータです。お客様の実データは一切使用していません。

  • PDF

    見積依頼書_日ノ出物流建設_260703.pdf

    客先から届いた見積依頼書1枚を模した架空のPDFです。同じ案件が「FAX・メール注文書の受注データ化と内容確認」の注文書サンプルへつながります。

    このファイルをダウンロード

  • PDF

    製作図_ステージ架台_A-2612.pdf

    見積対象の製作図を模した架空PDFです。表題欄・部材リスト・注記欄を含みます。

    このファイルをダウンロード

  • Excel

    過去見積実績_2024-2026.xlsx

    類似案件の抽出に使う架空の過去見積実績です。受注・失注の両方を含みます。

    このファイルをダウンロード

  • Excel

    材料単価表_加工賃レート表.xlsx

    steps4で金額を積み上げるための架空のレート表です。めっきをレート未設定の行として残しています。

    このファイルをダウンロード

一式をまとめた形は、業界別レポートに同梱してお渡ししています。

Pitfalls

つまずきやすい点

精度が出ないときにどこを見るか。ここが分かるかどうかで、定着するかが決まります。見出しを開くと、確かめる箇所が読めます。

過去実績が案件フォルダのままだと精度が出ない
類似案件の提示が的外れなときは、プロンプトではなく実績表の列を疑ってください。材質・板厚・加工工程・員数の4列が揃っていないと、AIは客先名と製品名だけで似ていると判断します。列を決めてから過去見積を転記する順番を守ってください。表が育つまでは、類似案件の提示は参考程度に扱います。
AIが単価を自分で作ってしまう
レート表を渡していても、AIは相場らしい数字を書くことがあります。見積で最も危険な誤りです。プロンプトに「単価は添付のレート表からのみ引くこと」「レート表にない工程は空欄にし、備考にレート未設定と書くこと」を明記してください。下書きを受け取ったら、単価が入っているセルを1つずつレート表と突き合わせます。
注記欄の指定が金額から抜け落ちる
表面処理、超音波探傷、公差の指定は、部材表には現れないのに金額に効きます。注記を部材表と一緒に要約させると、真っ先に落ちる情報です。注記は必ず別出力にし、要約せず全文を書き出させてください。そのうえで、注記のどの行がどの費目に効くかを人が確認します。
図面の解像度が低いと寸法が崩れる
客先から届く図面がスキャンの荒いPDFの場合、寸法線の数字が読み取れません。誤った寸法を返されるより、「不明」と返される方が安全です。プロンプトの推測禁止を必ず残し、不明が多い図面はAIに任せず人が拾ってください。客先に元データ(PDFの原本やCADデータ)を依頼できる関係なら、そちらが先です。

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